郭柏川と《淡水観音山》

                           曹永洋   原作

                                                          呉昭新 日本語訳

 

かってどれだけの傑出した画家が彼らの画筆で自分の愛する故郷を描いただろうか私にはわからない。しかし淡水観音山が当然文士墨客、芸術家が捕捉せんと渇望する歴史場面の対象の一つであるのには間違いない。

        郭柏川(19011974は台湾当代大家クラスの画家の一人である。彼はこの作品に於いて単純且完璧なる構図と線を以って描き出された碧天白雲鬱蒼な樹影の下の農家尖った屋根の淡水教会堂明媚な観音山悠然と流れる淡水川の郷愁に満ち満ちた田園の美しい風景を我々に見せてくれたのだ。

マカイ博士の後裔である柯設偕氏はかって《淡水素描》の一文のなかで,この様に述べている:「晴れた日の大屯,雨の後の観音,朝あけ夕暮れの淡水河,山麓の農家,水辺の漁舟の景色,水墨画の如き趣ありて。」最後に彼嘆声を上げるを禁じ得ず:「アラビアン‧ナイト(千夜一夜物語)に曰く『カイロを見ずして,世界を見たとは言えず。』,而して淡水を礼讃する者曰く:『淡水を見ずして,台湾に行ったとは言えず。』と」,数多の遊客がカメラのレンズに百年来異なる季節,変わり行く淡水の景色をキャッチするとも,只一流の芸術家のみが画筆で淡水の風景を永遠に残しうる。

淡水線の煙ふく汽車,タイムトンネルのなかに消えた今、ただ奔走する電車のなかから目に入るのは:再び澄むことなき淡水河,遠くに見える河より聳え立つ様に見える摩天楼;もはや一昔前の禿鷹、烏鷲、汚染した河水で窒息絶滅した魚たちの姿は見られない。ここに、芸術家郭柏川氏に感謝せざるを禁じ得ず,彼その画筆にて田園の風味溢れる淡水河の風情を永恒に残してくれたことを。

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